型染めギャラリー


2001年4月19日

養老国の話
養老国の話

今昔物語の天竺の都に記されている説話を型染めの絵にしました。
文章も小生なりに、筋書きもし少し膨らませて作ってありますが、それらの部分は私の領域ではありませんので、ここでは省き絵だけを見てください。
このお話の面白いのは今昔物語がわが国で編まれたのは、約1000年前ですが、物語の中の事件はそれよりはるかに昔のことです。
高齢者問題もそんな昔から養老の国に存在していて、現在なお片付いていない「人間」の問題として面白いと思います。


むかし、インドに六十歳になる老人を国の外へ追い出す事を定めた国があった。この国に老人の姿見られず。 国王のそばに仕える若き兵士あり。 朝に夕に老いたる母に孝養をつくせり。その母、やがて六十歳になれり。 若い兵士、遠い国へ追いやられる母を心配し、不安はますます募るばかりなり。 若い兵士は、ひそかに家の地下に部屋をつくり母を住まわせたり。 このこと家にいる家来にも知られず、近くの人も知らぬなり。
養老国の話

養老国の話
養老国の話
或るとき、隣の国、使いをよこし来れり。 この使い、二匹の蛇を取り出し「この蛇のオスとメスを見分け答えをよこすべし、 答えが届かざるときは、七日のうちにこの国を亡ぼすこと間違いなし」と言いてかえりたり。
国王、大いに困りぬ。蛇、全く同じ姿なり。
隣の国大きくして戦いに強き数万の兵を持てり。国王、若き兵士を呼び「これは如何にすべきか、 もしよき知恵あれば申すべし」「このこと簡単なことにあらず、一度帰りて考えるべし」若き兵士、 母にたずねるべし 六十年の間に何かこのようなことをお聞きおよびかも知れず、と心のうちに考え家に帰りたり。

養老国の話   若き兵士、ひそかに地下の部屋に行き、城でありしことを母に話し相談せり。
母、答えたり「昔、若かりし頃、このことを聞きしなり、二匹の蛇の間に卵を置くべし。
オスは待ってメスに与えること間違いなし」と。

若き兵士、急ぎ城に引き返し、国王の前に進み出て、その後二匹の蛇を取り出し、間に卵を置きたり。
暫くするうちに一匹の蛇、這いよりて卵を食したり。
国王、ただちに蛇のオスとメスを見分けて隣の国に送りたり。
  養老国の話