| <青春の園> 私の青春は花ぞのの国であった。 銀の泉が草の野に湧き出し、 老木のおとぎ話めいた青い影が、 私の大胆な夢の火を冷ました。 渇えながら私は熱い道を歩く。 私の青春の国は閉ざされている。 バラが塀のふちを越して嘲るように 私のさすらいに向かってうなずく (後略) |
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<転機> 今はもう世界は私のために花咲かない。 風も鳥の鳴き声も私には呼びかけない。 私の道は狭くなった。私は行き過ぎる。 ひとりの友も私の道ずれにならない。 私の青春のふるさとだった 楽しい谷間を見ることさえ、 今はもう私にとっては危険であり きびしい悩みだ。 ふるさと恋しの切なさを癒そうと、 もう一度下がって行くと、 そこには、どこに行っても変わりないように、 私の道のほとりに死が立っているだろう。 |
| <たそがれの白バラ> 悲しげにおまえは顔を 葉の上にもたせかける、死に身をまかせて。 おまえは幽霊のような光を呼吸し、 あおざめた夢をただよわせる。 だが、おまえのなつかしい香りは まだ一晩じゆう部屋の中に 最後のかすかな光の中で、 歌のようにしみじみとただよう。 おまえの小さい魂は 憂わしげに、名のないものに手を指しのべる。 そしておまえの魂はほほえみながら死ぬ、 私の胸で、姉妹なるバラよ。 |
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<うめく風のように> うめく風がやみの中を吹くように、 私の願いはあなたの方に 狂おしく飛んで行く。 目ざめたあこがれで一杯だ おお、私を病みつかせたあなたは、 私について何を知っているだろう! そっと私は深夜のあかりを消して、 熱にうかされて幾時間も寝ずにいる。 夜はあなたの顔をしており、 恋を語る風は あなたの忘れ得ぬ笑い声をしている。 |
| <寝ようとして> 一日のいとなみに疲れて、 私の切なる願いは 疲れた子供のように、 星月夜をしみじみと抱きしめる。 手よ、すべての仕事をやめよ、 ひたいよ、すべての考えを忘れよ、 私の五官はみな まどろみの中に沈もうとする。 魂はのんびりと 自由な翼で浮かび、 夜の魔法の世界に 深く千変万化に生きようとする。 |
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<炎> おまえがつまらぬものの間を踊っていこうと、 おまえの心が憂いに苦しみ傷つこうと、 おまえは日ごとに新しく味わうだろう、 生の炎がおまえの中に燃えている奇跡を。 (中略)
だが、陰気な薄明を通ずる道を行くもの、日々の煩いにたんのうし 生の炎をついぞ感じないものだけは、 その日々を空しく失うのだ。 |
| <つれない人々> なぜに君たちの目はそんなにつれないのか。 なんでもみな石にしてしまおうとする。 いささかな夢もその中にはない。 すべてが冷たい現在だ。 君たちの心の中には一体 太陽は輝いていないのか。 君たちはついぞ子どもでなかったことを 悲しんで泣かなくてもよいのか。 |
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<寂しい晩> からっぽなビンとコップの中で ロウソクのかすかな光がゆらぐ。 部屋の中は冷たい。 外では雨が柔らかく草の中に落ちる。 おまえはまたひと休みと、 凍えながら悲しく横になる。 朝は来、晩はまた来る。 絶えずやって来る。 だが、おまえは決してやって来ない。 |
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