
![]() |
陽の翳の彫りこまれをり春氷
須賀 薊
薄氷の吹かれて端の重なれる
深見けん二
三方の玻璃輝きて春隣
上野章子
薄氷を弾けば水の匂いして
松崎剛之
夢の端を踏むごとく踏み薄氷
鷹羽狩行
|
| 一夜のみ生きて手つなぐ春の雁
殿村菟糸絲子
たましひを抱くともあらず春の雁
間庭とよ子
さびしさを日々のいのちぞ雁わたる
橋本多佳子
月の前足そろへて雁わたる
真鍋呉夫
しんがりに幼き雁の一羽あり
成瀬桜桃子
春の雁死の順列を崩すなよ
宇多喜代子
|
![]() |
![]() |
きぬぎぬのうれひがほある雛かな
加藤三七子
雛納めひなの眠りを眠りたり
為本 茜
絶海をいまも流るる母の雛
吉田汀史
流れゆく雛と歩きて離さるる
上澤樹実人
戸を立てて異なる世へと雛納む
吉本和子
雛の間の闇うつくしき朝寝かな
原 コウ子
|
| 菫かな白寿の母を生みたるは
上野まさい
少年に菫の咲ける秘密の場所
鷹羽狩行
わが影のさして色濃き花菫
右城暮石
方言かなし菫に語り及ぶとき
寺山修司
花すみれ吾に仏のあにいもと
木附沢麦青
妻に現れわれには隠れ冬菫
相蘇としお
日光のなかに月光すみれ草
大槻紀奴夫
|
![]() |
![]() |
はくれんやまぼろしの子が支えをり
石原君代
白木蓮咲きしを閨のあかりとす
井上 雪
白木蓮にぶつかって日の渡るなり
岡本 眸
木蓮に白磁の如き日あるのみ
竹下しづの女
女くづるるごとくはくれんの散りゆけり
吉野義子
|
| 死に近き人を思へば牡丹の芽
岩田由美
一人減り又一人減り牡丹の芽
中岡毅雄
ふくらみし夢に雪ふる牡丹の芽
菅井冨佐子
満つる力は破るる力牡丹の芽
加藤秋邨
折鶴のごとくたためる牡丹の芽
山口青邨
日輪の凛々と澄み牡丹の芽
柴田白葉女
|
![]() |
![]() |
おへんろのわれ花の下草の上
黒田杏子
時間まだ夫婦にのこる花明り
ながさく清江
花明りしてこの世かなあの世かな
篠崎圭介
夢にも人に逢はぬ峠の夕桜
島田 柊
花冷えの闇にあらはれ篝守
高野素十
いったんは畦に下りたる花の山
岡本高明
|
| 花びらやいまはの息のあるごとし
長谷川 櫂
人の世の余白残してさくら散る
金井瑛子
空をゆく一かたまりの花吹雪
高野素十
口あいて落花眺むる子は仏
大谷句佛
みまかりて桜吹雪に加はるや
中尾寿美子
一本のすでにはげしき花吹雪
片山由美子
|
![]() |
| ▲ |