いそっぷの寓話

馬の老後


百三十八話・挿絵  年老いた馬が挽き臼をまわすために売られてきました。 老いた馬にはつらい小屋で挽き臼を回すつらい毎日がつづきました。

「あの興奮と歓喜の競馬場はどこへいったのだろう」
「渦巻く歓声の中で駆け抜けるあの快感は何だったのだろう」

 大きな嘆息とともに走りつづけたあげく予期しない終着点に着いたことを嘆いている毎日でした。

 人は過去の自分の姿を得意がってもいけないし、又過去の栄光が大きいほど晩年がつらい、といった意味だろう。

  私などは特別に輝いていたこともなく、といって錆付いてた訳でもないのだが、今でも空臼を挽いている。


(百三十八話)



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