山頭火(さんとうか)




寒中の行乞の中でうまれた句、山頭火の代表的な句
としての評価が高い。
鉄鉢をもっている手は極度に冷たくかじかんでいる。
寒中の水行、この行に匹敵する行の様に思える。
黒い鉄鉢の中でバウンドして落ち着く小さく白い粒、
そんな造形的な美しさを句にしたものではない。
鉄鉢に入ったものは有り難い供物。寒さがくれた有り難い
施物と考えいたかも知れない。






時刻はわからない、人の姿も風の渡る音も無い。
烏の声だけが空気を切り裂く
烏の鳴き声は、聴いている人によって受け取り方が
複雑だ。声よりもそれが響く空気と、周囲の情景が、
音のない自然の空気、あるのはキツイ鳴き声だけ。
それが自身に反映する。孤独なのだ。




しぐるるや道は一すぢ

「ひとりの」の「の」が気になる、
なぜ「ひとりで」ではないのか。
孤独な山頭火だから
自分だけの為の火には違いない。
生命をつなぐための火か、
火の色や暖かさが恋しいか。
「火をつくる」といった原始の行動が、
山頭火にふさわしい。
いのちを続けて燃焼させるための火が
欲しかったのだ。





しぐるるや死なないでいる

寒くて乾燥した夜の月は凄い
そして陰もまた濃い。
寒さゆえに陰の際が鋭く固い。
しかしこの上なく清浄で潔白
けれどこのような月に
照らされて良い自分だろうか
潔く立ち去ろう。





しぐるるやしぐるる山へ歩み入る

笹に雪が降りかかる
それが、なんの感動なのだろう
だれでも見た事がある。
俳句を詠んだことがなくても
子供でも・・・・。
「鉄鉢にも霰」と同じで
俳句を超えた究極の短い詩。
やはり美しい。





しぐるる土をうちおこしては播く

やはり旅だ、いや旅ではない
「乞食の行」だ、自分にはこれしかないのだ。
「この道」に対して私はこの様に解釈した。
春にむかって山頭火は雪道を踏んで
雪道の向こうに新しい自分の課題を求めて
再び出発した。




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