山頭火(さんとうか)



捨てきれない荷物のおもさまえうしろ

身も心も定住しない山頭火ではあるが、
ここではそれを越えて自然に任せた自身がある
一時的であるにせよ自然が見えた
人間の喜怒哀楽を自然はやさしく包んでくれる。





月の水をくみあげて飲み足って

労働のあとの疲れには心地よいものがあった
疲れた身体に、雑念は消えた。
そして、若葉のつよい生命の色は
疲れた身体に再び力を戻してくれる。




ここにふきのとうがふたつ

乞食でもない。いやしい風流人でもない。
自分そのままの姿、決して卑下をしていない。
じぶんを憐れんでもいない。
着ていた「ぼろ」こそ山頭火にとっての錦
孤高の心を持てば、暑さも孤独も超越できた。





ふるさとは遠くして木の芽

この句はなんとなく面白い。
山頭火の几帳面な部分が見える
音の所在を順序だてて、舞台装置の様に、
聴覚を自然に向けて集中させている
「素」になって自然に身をおけば
こんなことでも句になって人を感動させる。





どこかに月あかりの木の芽匂うなり

山頭火の乞食の行は「他」を連れずに
自身のみの孤独との道ずれだった筈
こでは、ほととぎすと道ずれになっている。
季節の力によって、「寂寥感」が減速した
目前にある山塊の裾をめぐる乞食行、
ほととぎすの声と共に、自然の中で行を進める





庵はこのまま萌えだした草にまかそう

新鮮で健康で、直截で輝いている。
私達が山頭火の句に抱いている難解さもなく
奥深い「何か」もない
すがすがしさ以外何ものもない
単純に、美しさに感嘆している
それが人間の美しさに対する本当の姿だ
「美」は真実。「美」は善なり




戻る
メニューへ
次へ