タゴールの詩によせて


タゴール・続編3

「タゴールの詩によせて」は、一旦ここで休憩します。
たしかに難しいテーマでした。まだまだ突っ込んでいくべきでしょうが、 このまま続けると
惰性のようなものになるのは目にみえています。 難しいが大変楽しい時間でした。
次のテーマをお楽しみにして下さい。



刻一刻 おまえに 終焉が近づくが
刻一刻 なおも 生まれ 残る
存在の 至高の富が 気孔だらけの素焼きの壷
いっぱいにつがれている
無尽にあつめられるものが 無尽の漏れ口から
一滴一滴もれてゆく、
この果てしない損失が 蓄積ゆえの怠慢を取り除き、
そこに 力が湧く
寄る辺無い夜の時間が ゆっくりと
明けの明星の方へと流れてゆく
礼拝の香の薫りをのせた
夜露にぬれた微風にはこばれて。
黄昏のものうい光、
その悲しげなかがやきが
今朝は 白々と明るむ曙光を浴びて
歓びの姿へと変容する そのとき
光の皿に シェフリの花の美をのせて
祝福が 静かに向こうからやってくるのを
わたしは見た。
窓を開けよ、
碧空をさえぎるな、
むせぶような花の香りを わたしの部屋に入れておくれ、
太陽の最初の光に
わたしの全身を隅々にまでひたらせよ、
わたしは生きている この讃美の音信を
若葉若葉のささやきにのせて わたしに聞かせておくれ、
この朝に
彼女のヴェールで わたしの心をつつませよ
朝が 緑の若草で 広大な野を覆うように。
わたしが人生で享けた愛
その物言わぬ言葉を
この空に 風に わたしは聞く、
その聖らかな浄めの水で 今日 わたしは沐浴する。
あの碧い胸にちりばめられた 宝石の首飾りの美のなかに
すべての生の真理をわたしは見る

彼らはこのように告白する
名声や名誉は 偉大な人 能力のある人たちにふさわしい、と
彼らはまた 言明する
人生の最高の贈り物は 弱き者の幸なることを。
名声は 人生のいっさいとひきかえに得られる財宝、
いささかの損失も許されない、しかし
この世のいっさいの価値を離れた者に 貧しさゆえに届けられる
愛の献げ物には
無限なるものの署名がしるされている
生命の衣のたくさんの糸が切れ
いまはもう それを結びなおす暇はない
生命の果てるいまわのきわにも なお無限に残されている愛が
わたしの心ない無礼のために傷つくことがあったなら、
願わくは 死の手で癒されますように、と
わたしは つねづね そればかりを念じている。
広大な人間の心のなかで
まだ語られぬことばの束が
ときどき 表現しがたい感情とともに彷徨い出る
天空の星雲のように。
それが わたしの心の限界に
不意に 突きあたって 破れると、
形をなして 凝縮し、
わたしの創造の世界の軌道を旋回する
静かに目を閉じる、 時がきたのだ
深い瞑想のうちに 表面的な自我が
のみこまれてゆく。
星ぼしの平和の領土である無窮の空が
形のない一日の美の存在をおおっている、
そこに真理を得るために
夜の海へと 舟を漕ぎ出す。
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