
夜ごと貴船の宮に参る女が、今夜も貴船川沿いに足早にやってきた。「蜘蛛の巣に駒をつなぐことは出来ても二道をかける浮気な男をつなぎ止めることは出来ない。と知りつつもその悔しさと苦しさに耐えられない、生きている甲斐もない。いっそ生きている間に報復させてほしい」 |
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「恋の身の 浮かむことなき加茂川に 沈みしは水の 青き鬼 われは貴船の 川瀬の蛍火」「捨てられて 捨てられて 思ふ思いの 涙に沈み 人を恨み ある時は恋しく または恨めしく 起きても寝ても 忘れぬ思いの因果は今ぞと・・・・・・」 鬼となって現れた女は後妻の髪を手に巻いて鞭にて打ちつづける。次に憎き男を取って行かんと枕辺に寄れば、恐ろしや御幣に続き三十三の神に守られて 「鬼神、魍魎けがらわしや、出でよ出でよ」 と責めてくる。 責められて悪鬼の神通力の勢いも絶え、力もよたよたと巡るばかり。 「駄目だ。時節を待とう、この度は引き上げよう。」 既に声は聞こえても姿は見えぬ鬼となってしまった。 |
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