「光源氏がここへ詣でたのは九月七日の今日でした。その時お持ちになっていた榊の枝を垣の内に差し置かれました。(男は入れない)六条の御息所は「神垣はしるしの杉もなきものをいかにまがえて折れる榊ぞ」と詠まれました。
「少女子があたりと思えば榊葉の香をなつかしみとめてこそ折れ」(光源氏の心としては榊の葉の色のように、私の心も昔のままです。と云った意味をもっている)
紅葉も散り、うら枯れの草葉に荒れる野の宮の、跡なつかしき此処で長月の七日が今日また廻り来た。はかなげな柴垣や、火焚屋も幽かで,淋しい仮住まいですこと」
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