「それにしても人間とは見えず、如何なる者か」
「私は、近衛天皇の御世、源の頼政によって命を失った鵺の亡霊です。その時の有様をこれから語ります。どうぞ跡をお弔いくださいませ」
「そうか、鵺の亡霊か。跡はねんごろに弔う、詳しく話したまえ」
鵺の亡霊は語り始めた近衛天皇の仁平の時代(1151〜54)幼い天皇は毎晩、訳のわからぬものに悩まされ続けた。霊験のある有名な僧侶が集められ、繰り返し秘法を行ったが効果はなかった。幼い天皇の病状はきまって丑の刻であった。内裏の東南より黒雲が立ち来たり、御殿の上を覆うと必ず怯えが始まる。公家たちが集まって協議を始めた
「多分、変化のものの仕業、武士を集めて警護させるべし」とて、源平の武士の中から源の頼政が選ばれた。 |